渡辺 さおり

2002年京都生まれ。油絵を中心とする視覚媒体と、インセンスやシーシャなどの嗅覚媒体を通して、異なる文化的背景をもつ人々が「互いの世界に立ちあう」ことの可能性を模索する。

経歴

2002年10月 京都府京都市生まれ

2021年4月 東京大学教養学部文科三類入学
2023年9月 東京大学休学、Central European University Bachelor of Arts in Culture, Politics, and Society 入学
2024年7月 Central European University休学
2024年10月 嗅覚探求ブランド サンガインセンス香煙研究所にてお香の調香研究

制作活動歴

  • 2024年5月17日    CEU DOCS: Annual Showcase 2024 @ウィーン ヴェルベデーレ21美術館にて、制作活動のショートフィルム上映
  • 2024年6月22日  ウィーン共同アトリエにて、Open Studio Day共同主催
  • 2024年8月3~9日  下北沢chottoにて、個展『Perpetuation』開催
  • 2025年2月14~17日 国際展示The Holy Art Exhibitionへ作品選出、日本橋兜町Keshikiにて展示

はじめに


異なる文化的・民族的背景をもつ人々が「互いの世界に立ちあう」とは、どんな状態か。どうしたら可能なのか。

この問いを持ったのは、19歳の時、はじめて旅したアメリカ フィラデルフィアにて、小さな公園を歩いていた時でした。

アフリカ系のホームレスの人々が、虚ろな目でベンチにずらりと座る前を、ヨーロッパ系やラテン系の人をはじめ、人々が彼らから目を逸らすように足早に通り過ぎます。

自分を含めた通行人が、彼らを分かりあえない「モノ」のような、恐怖の対象として捉えていたと気づいた時、感情より先に涙が溢れました。 初めての種類の涙でした。

人間の集団同士が、互いを分かり合えない「モノ」として放置すること。それは、かつての戦争で、複数の民族が他の民族をモノ化した、民族浄化の歴史にも繫がると思います。ここに、1つの人生をかけて向かいたいと思いました。

帰国後、民族的なマジョリティが意図的に排除されている場所に行けば、最初の問いに対する発見があるのではと考え、東京大学を休学。 100ヶ国から、1国5人以下の生徒が集まり、1学年60人ほどの小さな学部を形成するCentral European Universityの政治/文化/社会学部へ、進学しました。

進学して1年が経つ頃、「香り」が「互いの世界に立ちあう状態」のトリガーの1つであるという仮説が立ちました。様々な背景を持つ友人と、そのような瞬間を共有する時はいつも、お酒やお香など、何かしら「香り」があったからです。

そこで、「香り」と「互いの世界に立ちあう状態」の関係を解くため、香りが芸道の1つとして発展した日本に戻り、京都の嗅覚探求ブランドにて、香りの研究に励みました。


このポートフォリオは、Central European University進学後から現在に至る中で、最初の2つの問いに、油絵制作、エッセイ、インセンス制作を通じてせまった、経験的記録です。

Portrait Series -Perpetuation-


人と、二人同じ空間にある。
そこで、その人の国籍、民族、性別など、目に見えるラベルが全て剥がれ落ちたときに残る、
彼らを彼らたらしめるinvisible inner essenceをうつした記録。

Zine -My Tongue-  

 
異なる人同士が、互いにつながる。
その前提には、それぞれが「自分としてあれる状態」があると思う。

では、自分が自分である状態、とは何か。
日本で20年過ごしてきたにもかかわらず、母国語である日本語を使う時はいつも、どこか「自分である状態」ではなかった。

Mother Tongueではなく、「自分が自分である状態」を外側へ出すMy Tongueとは、どんなものか。

このZineは、My Tongueの感知と分析を通して、自分が自分である状態とは何かを探求したものである。

Short Essay 


1.世界と世界の間に立つ時

2023年秋~2024年春、ウィーンにて、文化的背景の異なる他者と自分が、確かに同じ世界に両足をつけて立ち、同じ景色をみていた瞬間の記録。

2.Being natural to yourself.

「人とつながる状態」の前提となる、「自分が自分である状態」へ導くものをとらえた瞬間の記録。

3.人と人の間に存在する香り
他者と自分が、同じ世界に立ち合う時。その間にある香りに関する記録。

Incense

嗅覚探求ブランド サンガインセンス香煙研究所にて、インセンス調香の基礎を学ぶ中で、調香が完成した作品の記録。